皮膚科に通院していたり、お子様がいる方はご存知かもしれません。 あのピンクのフタでお馴染みの保湿剤・ヒルドイド。
このヒルドイドがSNSを中心に話題となり、その効果の高さから「究極のアンチエイジングクリーム」という呼び名までついているようです。
今回は、この知る人ぞ知る処方薬・ヒルドイドについて見てみましょう。
1. ヒルドイドとは
ヒルドイドとは乾燥肌や皮脂欠乏症の治療、傷跡の治療などに使用される塗り薬です。
保湿効果が高いため、保湿剤として使われることが多い薬です。
皮脂欠乏症というのは、皮膚の表面の脂と水分量が減ることでお肌が乾燥する病気で、発症する患者さんは、中高年層に多くなっています。
ヒルドイドの主成分は、医療用医薬品にのみ使用できる「ヘパリン類似物質」です。
この成分には、血液が固まるのを抑え血流を良くする働きがあります。
そのため、アトピー性皮膚炎やしもやけ、ケガの後のむくみの治療にも使用されています。
子供からお年寄りまで幅広い年代に愛用されているこのヒルドイド。 最近、美容を目的とした用途が注目されていますが、保湿剤という医療用医薬品です。
病院で医師の診断を受けた上で処方してもらわないと購入できません。
2. ヒルドイドの種類
①クリーム
ヒルドイドの種類の中で薬の効き目が最も高いのがクリームです。
効き目が高い分、成分も強くアレルギー反応を起こしやすい香料も含まれています。 そのため、肌が弱い人はまれに赤みやかぶれ、かゆみといった副作用が起きることがあるようです。
実際に使ってみると、さらっとしていてベタつき感はありません。
②ソフト軟膏
ヒルドイドクリームからアルコールや香料などの肌への刺激が強い成分を取り除き、スクワランやサラシミツロウといった保湿成分を加えたのがソフト軟膏です。
保湿剤として一番よく処方されているのではないでしょうか。
私もよく小児科で保湿剤として処方されていました。
肌への刺激が少ないため、アトピーの人や小さなお子様まで使用することができます。
軟膏と名前がついていますが、ワセリンのようなベタつきはまったくありません。 ハンドクリームと同じような使用感です。
保湿剤が入っているので、クリームよりも肌に優しいだけでなく、水分を保持する力も高くなっています。
③ローション
使用感はヒルドイドの種類の中で一番サラッとしています。
化粧水のような軽い使用感なので、夏場や普段の持ち歩きに向いています。
こちらも小児科や皮膚科などで、ソフト軟膏と合わせて処方されることが多いです。
④ゲル
あまり目にする機会は少ないと思いますが、ヒルドイドにはゲルタイプもあります。
ケガの後の腫れ、腱鞘炎や筋肉痛、関節痛などの痛みがある場合に処方されます。
ゲルなので伸びはとても良いです。
以上、ヒルドイドには①から④の種類があります。
それぞれ形状は違いますが、配合されているヘパリン類似物質の割合はどれも1gあたり3.0mgで共通です。 医薬品として、病気やケガの症状に合わせて使いやすいよう、このような種類があるんですね。
3.ヒルドイドの価格
ヒルドイドの価格は、保険が適用となるので3割負担となり、200円~300円となります。
ただ、これは薬代だけの話です。
実際は薬代以外にも診療費などが別途必要で、この価格だけでは手に入りません。
先述の通り、ヒルドイドは処方薬なので、購入には医師の処方箋が必要です。
ドラッグストアなどでお手軽に…というわけには残念ながらいきません。
4. ヒルドイドの効果
①保湿効果
先ほども触れましたが、ヒルドイドは保湿剤です。
主成分であるヘパリン類似物質には、水と結合しやすい性質があります。
そのため、肌の水分が蒸発するのを防ぎ、肌の潤いを保つ働きをしてくれます。
さらに、保湿効果は表面だけではなく、基底層まで保湿をしてくれるので、乾燥肌を根本から改善することが期待できます。
基底層というのは、皮膚の1番深い部分にあたる層のことで、細胞の供給などを行う働きをしています。
②血行促進
ヒルドイドには血流を増やす働きがあります。
そのため皮膚の表面部分の血流を改善してくれます。
この効果を利用して、しもやけの治療に使用することもあるようです。
血流が改善されると、肌の新陳代謝が活発になります。
それにより、肌のターンオーバーの乱れを正常に戻す効果も期待できます。
ヒルドイドがシミやしわ、クマに効果的と言われるのは、このターンオーバーが促進される点に着目してのことと思われます。
③傷跡を消す
ヒルドイドはケロイドなどの盛り上がった傷跡を治す効果があります。
その理由として、皮膚の線維芽細胞の増殖を抑制する働きがあるためとされています。
線維芽細胞は、コラーゲンやヒアルロン酸など、肌のハリや弾力となる成分を作る源となる細胞で、若々しい肌を保つためには必要不可欠です。
しかし、増えすぎてしまうと、ケロイドなどの原因物質に繋がる場合もあるそうです。
また、血行促進効果により、炎症が治るのを早める効果もあると言われています。
冒頭で触れたとおり、最近はネット上でヒルドイドの効果が注目されているようです。
ただ、長年使用した経験を踏まえて言うと、「究極のアンチエイジングクリーム」とか「高級クリーム並みの効果」というのは言い過ぎです。
おそらく、医薬品ならではの有効成分、そして処方薬であるが故の価格の安さ、この2つが相まって評価を高めているのだと思います。
過度な期待は抱かない方がいいでしょう。
5.ヒルドイドの処方
ヒルドイドは皮膚科や小児科で処方されています。
まずは診察を受けなくてはいけませんが、まとめて欲しいと伝えれば、いくつかまとめて処方してくれると思います。
最後に
私は子供の頃、保湿剤としてずっとヒルドイドを処方されていました。
それが最近注目を浴びていると知って驚きました。
良いお薬ですし、手頃な価格で購入できるのも魅力です。 乾燥肌でお悩みの方は、一度皮膚科で受診・処方してもらってはいかがでしょうか。