お米のコーナーにいくと無洗米を見かける機会が増えてきましたが、無洗米に対してあまり良いイメージがないという人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実はあなたが思う無洗米のイメージの中には、誤解されてる部分が少なからずあるのです。 今回は、意外と知られていない無洗米のメリット・デメリットについてお話しします。
1.無洗米とは
無洗米とは研ぎ洗いの必要がなく、水を加えるだけで炊くことができるように加工されたお米です。
通常の白米には精米後、表面にぬかと呼ばれる層が残ります。
そのため、ぬかを洗い落とすために通常の白米は研ぎ洗いしなくてはなりません。
これに対して無洗米は、精米後にぬかを取り去る加工を施します。
そのため、研ぎ洗いする必要がありません。
通常の白米と無洗米は、このぬかの有無が大きな違いになります。
無洗米には、「全国無洗米協会」という日本で唯一の審査機関があります。
この協会によって品質・安全性・環境への影響などが厳しく審査され、審査をクリアした無洗米には「エコメちゃんマーク」を表示することが認められています。
2.無洗米の価格
近年、無洗米の種類が増えてきたので、価格も種類によって異なります。
大体の相場として、5kgで1,800~2,500円、10kgで3,000~4,500円程度と、普通米よりも5~10%程度高い価格となっています。
これだけ見ると無洗米=高いというイメージを持ってしまいがちです。 しかし、後述するように同じ重さで比較すると無洗米は普通米よりも内容量が多いので、実質的な価格差はもっと縮まります。
3.無洗米のメリット
①お米を研ぐ手間がない
水を加えて炊くだけなので手間が省け、時短にもなります。
あと冬場は手が荒れやすく、水も冷たいので洗う必要がないのは嬉しいですよね。
②白米より内容量が多い
白米には表面にぬかがついているので、全体の重量の約3%を洗い流さなくてはなりません。
一方、無洗米はぬかがついていない状態での重さになります。
そのため、5kgであれば、0.1~0.15kg内容量が多いのです。
③環境に優しい
お米のとぎ汁には、リンや窒素が含まれています。
これらは水質汚染や排水管劣化の原因になる場合があるとされています。
無洗米が環境にやさしいというCMを見て、なんで?と思っている方も多いと思いますが、その理由はとぎ汁が出ないからなのです。
④研ぎ洗いによる栄養素の流出がない
栄養素については後ほどお話ししますが、お米には水溶性の栄養成分が含まれています。
無洗米は研ぎ洗いする必要がないので、これらの栄養成分の流出を防ぐことができます。
⑤研ぎ具合による味のムラがない
普通米は米の研ぎ具合によって、味の変化が起きる場合があります。
無洗米は水を加えて炊くだけなので、味のムラがありません。
4.無洗米のデメリット
①吸水に時間がかかる
無洗米は1時間以上吸水させたほうが、美味しく仕上がります。
そのため、普通米に比べて準備に時間がかかります。
②炊き上がりのご飯が少し固い
無洗米は普通米よりも、粒が小さく仕上がりが固くなりやすいようです。
ただ、炊き方次第でこのデメリットは解消できます。 コツなどは後ほどご紹介します。
③心理的な抵抗を感じやすい
やはりお米というと、研いで食べるイメージが強いと思います。
そのため、研がずに食べることに抵抗を感じる人も多いようです。
④普通米よりも種類が少ない
徐々に無洗米も種類が増えてきてはいますが、まだまだ普通米の方が一般的です。
そのため、普通米と比べると選択の幅が狭くなっています。
5.無洗米の栄養
無洗米はぬかをあらかじめ取り去っているので、栄養素まで取り除かれているのでは?と思われがちです。
ところが実はその逆で、成分によっては無洗米の方が含有量の多いものもあります。
この点、お米の主成分である炭水化物やタンパク質、脂質の含有量は普通米と変わりません。
一方、水溶性のビタミンであるビタミンB1とナイアシンは、お米を研ぐことで流れ出てしまうため、無洗米の方が含有量が多いのです。
無洗米と普通米の水溶性ビタミンの含有量を比べると、ビタミンB1は100gあたり普通米は0.03mg、無洗米は0.05mg、ナイアシンは100gあたり普通米は0.24mg、無洗米は0.44mgとなっています。
6.無洗米の炊き方
炊き方は通常の炊飯で大丈夫です。
ただ、いくつか抑えるべきポイントがあるのでご紹介します。
①吸水時間
1時間程しっかり水に浸しておくと、仕上がりがふっくらとなります。
②水の量
無洗米は普通米に比べると、粒が小さく、水が少ないと冷えた時に固くなりやすくなっています。
そのため、炊飯器の目盛りより多めの水をいれると美味しく仕上がります。
水の量は米1カップにつき、大さじ1~2杯の水を増やしてください。
③炊き上がってもすぐに炊飯器の蓋を開けない
炊き上がったら15分程蒸らしましょう。
その後、ご飯をつぶさないように底からしっかりかき混ぜてください。
最後に
皆さんは無洗米について誤解している部分はありませんでしたか?
私も以前はあまり良いイメージを持っていませんでした。
しかし、事実を知ってびっくり。 それ以来、無洗米に対するイメージはすっかり変わりました。 今回の記事で少しでも興味を持った人は、ぜひ1度食べてみてください。