冬の時期といえばニットの出番ですよね。
暖かいですし、冬の鉄板アイテムとも言えます。
しかし、洗濯の方法にお困りの人もいるのではないでしょうか?
洗いたいけど縮むのが気になるという人のために、今回は縮みを防ぐ洗濯の仕方などをご紹介したいと思います。
1.洗濯で縮む素材
①毛 (ウール、カシミヤ、アンゴラ)
縮みやすいといえば、動物の毛からできたこれらの素材が最も縮みやすいと言われています。
ニットやコートなどによく使用されている素材になります。
毛の繊維の表面にはスケールと呼ばれるたんぱく質がうろこ状に繊維を覆っています。
スケールは乾いた状態では閉じていますが、水に濡れると開く特徴があります。
これは人の髪の毛のキューティクルと同じ性質なんです。
このスケールの性質が繊維を縮ませる要因となっています。
<縮む原因>
毛が縮む原因は、水に濡れた状態で摩擦を与えてしまうことです。
先ほども触れましたが、スケールは水に濡れると開いてしまいます。
この状態で擦ったりしてしまうと、スケールが絡み合い、元のうろこ状に戻れなくなってしまうのです。
絡みあったまま乾いてしまうことにより、衣服の縮みが発生します。
これをフェルト収縮と言います。
②レーヨン
木材のパルプが主原料となります。 これを絹に似せて作った素材がレーヨンです。
洋服の裏地や女性下着などによく使用されています。
自然素材で作られているので、土に還ることができるそうです。
<縮む原因>
レーヨンは、水につけると繊維が水分を吸って膨らみ太くなる特徴があります。
すると繊維どうしの間隔が狭まってしまうそうです。
狭まった状態のまま乾いてしまうことで、全体の長さが縮んでしまいます。
この現象を膨潤収縮と呼ぶそうです。
③綿 (コットン)
綿の種子(コットンボール)からとれる繊維です。
肌触りがよく丈夫なため、下着やTシャツ、タオルなどに使用されています。
私たちの身の周りの衣類などで1番使われている素材だと思います。
<縮む原因>
綿は製造過程で延伸という強い力で引っ張る工程があります。
それにより元に戻ろうとする力が発生します。
そして吸水性がよく、レーヨンのときにご紹介した膨潤収縮が起きやすくなっています。
綿の縮みが発生するのは乾く時です。
なので、乾燥機などを使用して急速に乾かしてしまうと、縮みやすいのです。
2.縮まない洗濯方法
①手洗い
(1) 毛 (ウール系)
ウール系は30℃以下の水で摩擦を最小限に抑えることがポイントです。
摩擦を抑えるために擦ったりせずに手洗いで押し洗いをしていきます。
また使用する洗剤はスケールを開きにくくする効果のある、おしゃれ着用洗剤を使いましょう。
<洗い方>
まず洗面器などにおしゃれ着用洗剤とぬるま湯をいれ、混ぜておきます。
衣服は中表にして型崩れしないように畳んでください。
そして、先ほどの洗面器に沈めていきます。
手を離して浮いてきたら沈めるという工程を繰り返します。(大体5分程度)
このときに擦ったり揉んだりはしないようにしてください。
洗い終えたら、きれいなぬるま湯を用意しすすぎます。(大体2分程度)
すすぎも先ほどの洗い方と同じように行います。
その後はネットにいれて、洗濯機で15秒~30秒脱水をして完了です。
干す際は衣服の形を整えてから、日陰で平干しをしてください。
※平干し
ハンガーなどにかけずに、平らな場所で衣服を広げて干す方法です。
(2) レーヨン
レーヨンは水につけている時間が長いほど大きく縮みます。
そのため洗濯機は不向きだそうです。
手洗いで素早く洗いあげるのが縮みを防ぐポイントとなります。
<洗い方>
洗面器などに洗剤を混ぜておきます。
そこに衣服をいれたら30秒程、手早く押し洗いをします。
その後きれいな水に交換し、すすぎ、脱水をしていきます。
どちらの工程も20秒程度で行ってください。
干す際はハンガー干しで大丈夫です。
洗う工程を2分程度で終えると縮みを防止できます。
時間をかけないために、洗う容器とすすぎの容器をそれぞれ用意しておくと、スムーズに洗えるかと思います。
また、じっくりと洗うことができないので汚れが軽いうちに洗うようにしましょう。
②洗濯機
(1) 毛 (ウール系)
洗濯機を使用する場合は、必ず洗濯ネットを使用してください。
汚れやすい前身頃(胴の部分)や袖口などが外側になるようにたたみ、ネットに入れます。
あとは洗濯機にネットに入れた衣服とおしゃれ着用洗剤を入れてドライコースで洗濯してください。
我が家の洗濯機はドライコースですが、洗濯機の種類によってコース表示が異なる場合があります。
優しく洗いあげるコースを選んで、洗濯をしてくださいね。
干すときは形を整えてから日陰で平干ししましょう。
(2) 綿
綿は丈夫な繊維なので、ウール系のようにドライコースで洗う必要はありません。
ですが他の衣類と絡まったりすると縮みが発生しやすくなります。
それを予防するためには洗濯ネットを使用すると効果的です。
あともう1つ絡まり防止として、脱水時間を1?3分と短めに設定するのも有効となります。
干し方はハンガー干しで大丈夫です。
直射日光は縮みの原因になるのでウール系と同様、陰干しをしてください。
3.縮んだ衣類を元に戻す方法
衣類の縮みは繊維の編み目がつまることで起こります。
このつまりを直すことで縮みを直すことができるそうです。
①トリートメントで縮みを直す
この方法が有効なのは、ウールなどの動物の毛の素材のものになります。
上でもお話ししたように動物の繊維は人間の髪の毛と似た性質を持っています。
そのためトリートメントを使用することで広がったスケールを元に戻す効果があるのです。
ただ、どのトリートメントでもいいわけではありません。
「ジメチコン」という成分が入ったトリートメントを使うことがポイントです。
このジメチコンがプロの人が使用するシリコン洗剤のシリコンと似た働きをしてくれるそうです。
<縮みの直し方>
洗面器を用意し、少量のトリートメントと30℃のぬるま湯をいれ混ぜておきます。
そこに服をいれて、縮んだ部分を少しずつ引っ張りながら伸ばしていきます。
伸ばし終えたら、そのまま30分程浸しておいてください。
その後は優しく絞り、バスタオルで包んで水気を切ります。
最後に形を整えて日陰で平干しすれば完了です。
②アイロンで縮みを直す
この方法が有効なのはレーヨンです。
まずアイロンを低温に設定をしましょう。
温まったら衣類の片側をアイロン台などに固定してください。
もう片方は引っ張りながらアイロンを1㎝程浮かせた状態でかけていきます。
この方法で多少の縮みであれば直すことができるそうです。
③柔軟剤で縮みを直す
この方法が有効なのは綿などの植物の繊維になります。
綿100%のものであれば、縮んでも着用しているうちに元に戻るそうです。
戻らない場合は柔軟剤で直してみましょう。
<縮みの直し方>
洗面器にぬるま湯と柔軟剤を少量まぜて衣服をいれます。
手で縮んだ部分を引っ張りながら伸ばし、日陰で平干しをします。
乾いたらアイロンを1㎝程浮かせながらかけて形を整えて完了です。
縮みがひどい場合はハンガーにかけて干すと、引っ張りながら乾かすことができます。
④ダンボールや厚紙で型紙を作って縮みを直す
この方法が有効なのはウール系と綿になります。
洗い方は上でご紹介した方法でそれぞれ洗っておいてください。
(ウール系はトリートメント、綿は柔軟剤の方法)
<縮みの直し方>
ダンボールや厚紙を伸ばしたいサイズに切ります。
裾の部分は1㎝程長めに切っておいてください。
切った型紙の上に服を被せて洗濯バサミで固定して干します。
干すときは日陰で干してくださいね。
最後に
お気に入りのニットなど、着たくても縮みが怖くてなかなか着れない洋服が1着はあるのではないでしょうか?
これから寒さもどんどん厳しくなっていきます。
お気に入りのニットをたくさん着ておしゃれを楽しみながらしっかり防寒しましょう。
ニットのお手入れは、ぜひ上記の方法を参考にしてみてください。