万能掃除アイテムとして有名なものに重曹があります。
この重曹よりも洗浄力や使い勝手が優れているとして、最近注目を浴びているのが「セスキ炭酸ソーダ」です。
機能も見た目もそっくりな2つのアイテムの違いは何なのか、 そして、セスキ炭酸ソーダの特徴や使い方などについて解説します。
1.セスキ炭酸ソーダとは
セスキ炭酸ソーダとは、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム)と重曹(炭酸ナトリウム)で構成された無機化合物です。
つまり、この2つの中間的な性質を持っているのがセスキ炭酸ソーダになります。
主に、家庭用洗剤や入浴剤に配合されています。
サラサラとした粉末状で水に溶けやすく、常温で長期保存をしても変質しません。
また、適度なアルカリ濃度で、油脂やタンパク質の汚れ落としに力を発揮します。
その洗浄力は重曹の10倍とされ、高い洗浄力を持ちながら手肌や環境に優しいという、次世代のエコ洗剤とも言われているがセスキ炭酸ソーダなのです。
2.セスキ炭酸ソーダと重曹の違い
①アルカリ濃度
セスキ炭酸ソーダも重曹も同じアルカリ性です。
ですが、同じアルカリ性でも強弱があり、その度合いを「ph」という数値で表します。
この数値は0~14まであり、ph7を中性とし、これより大きな数値がアルカリ性となります。
セスキ炭酸ソーダのph値は9.8、重曹のph値は8.4です。
なので、セスキ炭酸ソーダは弱いアルカリ性、重曹はとても弱いアルカリ性になります。
つまり、セスキ炭酸ソーダの方がアルカリ成分が強いので、洗浄力も重曹より高いということです。
②水への溶けやすさ
セスキ炭酸ソーダはとても水に溶けやすい性質を持っています。
それに対して、重曹は冷水に溶けにくくなっています。 そのため、水に溶かすのに時間がかかったり、容器の底に白く溜まってしまうことがあります。
③研磨力の有無
セスキ炭酸ソーダには研磨力がありません。
それに対して、重曹の粒子には研磨剤の効果があります。
④得意な汚れ
セスキ炭酸ソーダと重曹には上記のような違いがあります。 そのため、得意とする汚れも異なります。
セスキ炭酸ソーダは、油脂やタンパク質汚れを分解するのが得意です。
それに対し、重曹には研磨作用があるため、鍋についたこげ落としやクレンザーの代用として力を発揮します。
3.セスキ炭酸ソーダの使い方
セスキ炭酸ソーダを使用する際には、セスキスプレーを作っておくと便利です。
作り方は、500リットルの水に小さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを混ぜて、スプレー容器に入れて完成です。 このスプレーを作っておけば、家中のさまざまな場所に吹きかけて使用できます。
①換気扇やガスコンロの油汚れ
汚れが気になる部分にスプレーを吹きかけて、しばらく待ちます。
すると汚れが浮き上がってくるので、乾いた布で拭き取ってください。 その後、水拭きをすると綺麗になります。
頑固な汚れの場合は、キッチンペーパーにスプレーを吹きかけたものでパックをするのがおすすめです。
ガスコンロの五徳など外せるものは、スプレー液に浸けておくと汚れが取れやすくなります。
②ステンレスの曇り取り
水3リットルに大さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを鍋にいれ溶かしてください。
そこにステンレス製のザルや茶こし、カトラリーなどをいれて煮沸(しゃふつ)します。
その後、スポンジやブラシでこするとピカピカになります。
③プラスチック製品のベタつきやにおい消し
お弁当箱やタッパーなどのベタつきやニオイもセスキ炭酸ソーダで落とせます。
やり方は、水3リットルに大さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを溶かして浸けておくだけです。
その後、普段通りスポンジでこすり洗いすると、ベタつきとにおいの両方が取れます。
④スイッチやドアノブについた手垢
キレイにしたい場所にスプレーを吹きかけ、拭き取ります。
そのあと固く絞った雑巾などで水拭きすると、手垢汚れを落とすことができます。
⑤お風呂掃除
お風呂場の主な汚れは、皮脂や石鹸かすなど酸性の汚れです。
そのため、酸性汚れを溶かして浮かす働きのある、セスキ炭酸ソーダが活躍します。
まず、浴槽や床にスプレーを吹きかけて、拭き取ります。 その後、水で洗い流してください。
ただし、カルキや水垢の汚れはアルカリ性のため、セスキ炭酸ソーダは不向きです。
軽い汚れであれば取り除けますが、頑固な汚れの場合はクエン酸などを使用してください。
⑥洗濯
セスキ炭酸ソーダは皮脂汚れに有効なため、洗濯洗剤としても使用できます。
粉末状ですが、水に溶けやすく、粉が残ることもありません。
セスキ炭酸ソーダで洗濯をすると、繊維を傷めず、ふんわりと洗いあがります。 さらに、洗濯槽の黒カビ予防もできます。
洗濯方法は、水30リットルに大さじ2杯のセスキ炭酸ソーダを入れます。
そして、通常の洗濯より洗いの時間は長めにおこないます。 すすぎは1回でOKです。
汚れがひどい場合は、1時間から一晩つけ置きしてから洗ってください。
ワイシャツの襟や袖口の汚れには、あらかじめセスキスプレーを吹きかけて、ブラシで洗っておくとキレイになりますよ。
洗濯にセスキ炭酸ソーダを使用する際、注意点があります。
それは泥汚れや、機械油や口紅などの油汚れ、衣類のシミです。 このような汚れ落しにはセスキ炭酸ソーダは不向きのため、期待する効果が発揮できません。
4.セスキ炭酸ソーダを使用する際の注意点
先ほど少し触れましましたが、それ以外にもセスキ炭酸ソーダには汚れ落としに不向きなものがあります。
それは、畳やアルミ製品、白木です。
これらに使用すると、変色やシミになってしまう場合があるので注意してください。
また、セスキ炭酸ソーダにはタンパク質を溶かす性質があります。 手荒れしやすい人は、念のためにゴム手袋の着用をおすすめします。
最後に
セスキ炭酸ソーダは、重曹よりも水溶けがよく、優れた洗浄力を持つエコ洗剤なんです。
これ1つで様々な掃除に使用できるので、洗剤の使い分けを減らすことができます。
これから、年末に向けて大掃除をする人も多いと思います。 今年の大掃除アイテムに、セスキ炭酸ソーダを加えてみてはいかがでしょうか?