「ここぞ!」という正念場、あなたはどう乗り切っていますか?
体力の回復には休息と睡眠が一番ですが、それが叶わない時は栄養ドリンクに頼るという人も多いことでしょう。
ただ、栄養ドリンクは値段の幅が広くてどれを買うか判断に迷うこともありますよね。
今回は、栄養ドリンクの値段による効果の差がどれほどあるのかを考えてみます。
1.栄養ドリンクの種類
一口に「栄養ドリンク」と言っても、その種類は法的な基準によって3つに分けることができます。
①医薬品 ~ユンケルなど~
1999年に薬事法が改正されるまで、栄養ドリンクは薬剤師による処方を受けなければ購入できない「医薬品」に位置づけられていました。
800円~4,000円程度の高価なドリンクは、今でも「医薬品」として扱われています。
②医薬部外品 ~リポビタンDなど~
薬事法改正を受け、栄養ドリンクの多くが「医薬部外品」に分類されました。
医薬品は厚生労働省から有効だと認められた成分を含む「治療」を目的としたものです。
一方、この医薬部外品は、有効成分が一定量含まれてはいるものの、「予防」を目的にしたもので、薬剤師の処方を受ける必要がなく、コンビニやネット通販などでも購入できます。
なお、医薬品・医薬部外品にあたる栄養ドリンクは、内容量が100mlを超えてはいけないというルールが定められています。
③清涼飲料水 ~MONSTER・レッドブルなど~
MONSTERやレッドブルなどのエナジードリンクの分類は「清涼飲料水」となっており、100mlを超えて販売することが認められています。
しかし、エナジードリンクには医薬品に分類される成分(タウリンなど)は配合できず、効果・効能について表記することもできません。
2.値段が全然違うのはなぜ?
栄養ドリンクは、商品によって含まれる成分や量が異なり、それに伴い価格も非常に幅広くなっています。
高価な栄養ドリンクはよく効くと考えがちですが、本当に値段に見合うだけの効果があるのでしょうか? 暗示やプラシーボ効果で効いているように感じるだけ、という説もあります。
そこで、値段の違いを考える前に、まず栄養ドリンクに含まれる機能や成分を大きく4つに分けて見てみましょう。
①糖分
アイディアを生み出す原動力となる「脳」は、糖分しか食べません。つまり、頭をスッキリさせて疲労回復効果を狙うためには糖分が不可欠で、ブドウ糖などがこれにあたります。
②栄養素
その名が示す通り、栄養ドリンクには疲労回復を助ける栄養素が多く含まれています。ビタミンやミネラル群、アミノ酸といったものが代表的です。
③強壮成分
栄養ドリンクの本領とも言える部分です。朝鮮人参やマムシなどに含まれる強壮成分が、身体にパワーをみなぎらせ、ここぞという時にあなたを助けてくれます。
④覚醒/興奮作用
疲労が蓄積した時に一番困るのが眠気ですよね。これを吹き飛ばすための成分も栄養ドリンクには含まれています。無水カフェインやアルコールなどが該当します。
これら4つの役割を担う成分はそれぞれいくつもあります。
ただ、値段の高いドリンクにはより希少性が高い(=コストも高い)生薬などが含まれ、それ以外の成分も、安い商品に比べて多く含まれているのが特徴です。
そして、この栄養ドリンクに入っている成分は、厚生労働省から効果を認められているものがほとんどですので、疲労回復に効くことは間違いないと思われます。
ただし、希少性の高い成分が必須なのか?と言われると、少し疑問が残ります。
なぜなら、その含有量がほんの僅かだからです。
だとすれば、毎日のように飲むのならともかく、一時的に利用するだけなら手頃な価格の栄養ドリンクの方がコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
3.効果を最大限に引き出す飲み方
では、この栄養ドリンク、どのように飲むのが一番疲労回復の効果が得られるのでしょうか。
どんなに高価なドリンクであっても、その効能が効き始めるのには一定の時間がかかります。
もし、日常的に疲労が溜まっていると感じているなら、翌朝にスッキリと目覚められるように寝る前に飲むようにしましょう。
平日の家事や育児、仕事などでエネルギーを一日中持続させることが目的であれば、その日のお昼ごはんを食べた後に飲むのが効果的です。
就業後の付き合いに向けて身体に鞭打つような場合には、夕方に差し掛かる前に摂取すると、徐々に効果が現れてきます。
ちなみに、体内に取り入れた栄養ドリンクの成分を身体中に巡らせるためには、血流を良くする必要があります。 できるだけ空腹時を避け、食後に飲むようにすれば一層効果が得られるでしょう。
4.正しく服用しないと危険なことも
うまく使えば疲労回復に効果のある栄養ドリンクも、飲み方を少し間違えると身体に悪影響を及ぼす危険性もあります。
まず挙げたいのが、風邪薬との併用です。
知らず知らずのうちにやってしまっている人、かなり多いのではないでしょうか?
栄養ドリンクには微量ながらアルコールが含まれています。
これを分解するため、肝臓には大きな負担がかかるのですが、実は風邪薬も用量を超えて服用すると、薬剤性肝障害を引き起こすこともあるくらい、肝臓には良くないのです。
これらをダブルで摂取することの弊害は容易に想像できますね。
また、何かと一緒に飲むのではなく、単に栄養ドリンクだけを飲んでいたとしても、大量に飲むことで身体に悪い影響があります。
以前、アメリカのメリーランド州で、14歳の少女が「カフェインの毒性による不整脈」で突然死した事故がありました。
この少女は、死の24時間以内に栄養ドリンクを2本飲んでいたそうです。
その2本に含まれていたカフェインは、コーラ14缶分に相当する480mg。 少女を死に至らしめるには十分な量だったのです。
栄養ドリンクの用法・用量には、1日1本と明記されています。 これは必ず守るようにしてください。
最後に
今回は栄養ドリンクについて、値段による効き目の違いや効果的な飲み方などについて見てきました。
高価なドリンクに含まれる成分については、確かに希少で良質なものも使われているようですが、常用するわけでなければあまり効果に違いがなさそうだということと、そもそも栄養ドリンクを常用することはあまり好ましくないということが分かりましたね。
ただ、ここぞという場面では利用価値が高いのも事実です。 うまく使って多忙な毎日を乗り切っていきましょう。