極度に緊張をして手が汗ばむ経験を1度はした事がある人が多いと思います。
汗ばむ頻度が多かったり、常に手が湿っている場合多汗症の可能性があります。
そこで今回はこの手掌多汗症についてお話ししていきたいと思います。
1.手掌多汗症とは
手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)とは、手のひらに異常に発汗する病気です。
軽度の場合であれば手が湿る程度ですが、重度の場合には、
・手を動かすと汗が飛び散る
・握手ができない
・手が滑ってものを落としやすい
・紙や書類が濡れてしまう
など、日常生活に支障が生じるほどの症状が現れます。
また、同じ手掌多汗症でも、人によって発汗の度合いに大きな差があるようです。
日本人はストレスを感じやすいとされ、約5.3%が手掌多汗症患者であると言われています。
加えて、平均発症年齢は13.8歳と、かなり低めです。
2.手掌多汗症の原因
手掌多汗症の原因はハッキリとは解明されていません。
ただ、何らかの理由で自律神経の1つである交感神経の働きが異常に活発になることが原因と言われています。
手汗をかくタイプには2種類あります。
・温熱性発汗
人間の体が正常に機能するためには、体温を一定に保たなくてはなりません。
活動的になり体温が上がると、交感神経が働き汗を分泌させます。 それにより体内にこもった熱を発散させ、体温を調節しているのです。
・精神性発汗
極度な緊張やストレスなどによる精神的なプレッシャーが原因で交感神経を刺激して汗を分泌させます。
また、手に汗をかくことに神経質になったり、周りに知られたらどうしよう?といった恥ずかしさ、不安などの精神状態も発汗を促します。
このような2つのタイプがありますが、どちらも交感神経が刺激されて発汗を促すことが原因となっています。
<交感神経とは>
交感神経は新陳代謝を活発にする神経です。 発汗機能はこの交感神経によって管理されています。 交感神経の働きが異常に活発になることでエクリル腺が活性化され、多量の汗が分泌されます。
<エクリル腺とは>
汗を分泌して体温調節をする汗腺です。
発熱や運動などによる体温上昇すると信号を感知し、血液から水分をくみ取り汗を作る働きをしています。
原因はこの交感神経の異常とされていますが、他に次のようなものも原因として考えられています。
・ホルモンバランスの乱れ
ホルモンの生成と交感神経を司る部分はどちらも脳の同じ部分にあります。
それゆえ、ホルモンバランスが乱れると、交感神経も連動して乱れてしまうのです。 こうして多汗の症状を引き起こされます。
ホルモンバランスは更年期障害、妊娠、月経などで不安定になります。 手掌多汗症の女性は、ホルモンバランスの乱れが原因の可能性があります。
・生活習慣の乱れ
熱いものや辛いものを食べすぎると味覚多汗症になることがあります。 香辛料などの刺激も交感神経を刺激するため、発汗につながります。
また、コーヒーによるカフェインやたばこのニコチンは、汗腺の働きを活発にする作用があります。 そのため、喫煙者やカフェインの多量摂取をしていて多汗症という場合は、これが原因の可能性があります。
・肥満
肥満により内蔵脂肪や皮下脂肪が増加すると、体内の熱をうまく外に発散できなくなります。
そのため、体内にこもった熱を発散させるために大量の汗をかきます。
・病気などの疾患
甲状腺機能亢進症
糖尿病
急性リウマチ
生殖器障害
自律神経失調症
これらの疾患は多汗症につながる場合があります。 ただし、これらの場合、手のひらだけでなく全身が多汗になる場合が多いようです。
・遺伝や体質
太りやすかったり、代謝のよい体質を遺伝していた場合、通常より多汗症を発症する可能性は高くなります。 また、自律神経が乱れやすいなどの体質も、少なからず多汗症の発症に関係していると言えます。
3.手掌多汗症の対策
・ストレスをためない
手掌多汗症の原因の多くはストレスによるものが多いと言われています。
そのため、発汗への1番の対策はストレスをためないことです。 自分にあったストレス発散法を見つけましょう。
また、湯船に浸かったり、ストレッチをしてリラックス状態をつくるのもオススメです。
あとは細かなことでストレスを感じないメンタルを作ることも大切です。
・ベビーパウダーを持ち歩く
汗を抑える効果はありませんが、汗をかいたときにつけると一瞬でサラサラになります。 そのため、応急処置としては有効です。
最近では固形ファンデーションのようなコンパクトタイプのベビーパウダーもあるので、持ち歩くのに便利です。
ベビーパウダーは、フェイスパウダーとしても口コミ評価が高いので、女性の人には特におすすめです。
・塩化アルミニウムを使用する
塩化アルミニウムは医療機関でも汗の抑制に使用される成分です。
汗に反応して固まる性質を持っています。 そのため、汗腺を塞いで汗を抑える強い制汗作用があります。
塩化アルミニウムの使用法には、「塩化アルミニウム配合の制汗剤」と「塩化アルミニウム水溶液」の2通りがあります。
<塩化アルミニウム配合の制汗剤>
制汗剤はスプレータイプより直塗りタイプの方が持続力が高いので直塗りを選んでください。
また、手汗の場合、ほとんど臭いは気になりません。
ですので、抗菌・殺菌作用は必要ありません。 塩化アルミニウム配合の制汗剤で、おすすめの商品をご紹介しておきます。
①エキシウクリーム 30g 1800円
塩化アルミニウムとミョウバンを両方配合した直塗りタイプの制汗剤です。 汗腺周辺の肌や筋肉を引き締めて汗を出にくくしてくれます。
②オドレミン 25ml 1000円
液状タイプの制汗剤で塩化アルミニウムを高濃度で配合しています。
軽い粘度があるので、付着しやすくなっています。 使用する前にはよく振ってから使用してください。
高濃度のため、高い制汗作用が期待できます。 しかし、かゆみやかぶれには気をつけてください。
③テノール液 30ml 850円
ロールオンの直塗りタイプの制汗剤です。 塩化アルミニウム濃度は低いので、初めて塩化アルミニウムを使用する人や症状が軽度の人におすすめです。
速乾性があり、さわやかな香りがついています。
<塩化アルミニウム水溶液>
20~50%の濃度の塩化アルミニウム水溶液を手のひらに塗ります。 日中は汗で流れ落ちてしまうので、手汗の分泌量が減る就寝前に使用しましょう。
手袋をして密閉すると、より効果的になります。
塩化アルミニウムは刺激が強い成分です。 いきなり高濃度で使用すると、手がかぶれる恐れがあります。 そのため、最初は低濃度から使用するようにしてください。
~塩化アルミニウム水溶液の作り方~
・塩化アルミニウム 20g
・精製水 100ml
上記の材料を混ぜ合わせれば完成です。 塩化アルミニウムは「オドレミン」が値段もお手頃なのでおすすめです。
精製水はどこの薬局でも購入することができます。
先ほどもチラっとお話ししましたが、塩化アルミニウムは強い制汗作用を持っています。
しかし、その分刺激が強いです。 少し使用してみて、かぶれやかゆみ、湿疹などが出た場合にはすぐに使用をやめてください。
塩化アルミニウムが合わなかった場合には、次にご紹介するミョウバンがおすすめです。
<ミョウバン水を使用する>
ミョウバンは、アク抜きや漬物の色止めなどに使用されている食品添加物です。
ミョウバンには収縮作用があります。 そのため、汗腺を塞ぐ効果があるとして、昔から制汗剤として使用されてきました。
塩化アルミニウムのような持続性はありませんが、自然由来成分で肌にとっては低刺激です。
そのため、塩化アルミニウムで肌荒れしてしまう人や妊娠中の人におすすめです。 使い方は水で溶かしてミョウバン水にして使用します。
~ミョウバン水の作り方~
・ミョウバン 15g
・水 400ml
・500mlの空のペットボトル
・スプレーボトル
ミョウバンと水を空のペットボトルにいれてよくふり混ぜるだけです。 1~2日、完全に溶けるまで冷暗所で保管しておきます。
透明な水溶液になっていればミョウバン水の原液の完成です。 この原液を10~30倍に薄めてスプレーボトルにいれて使用します。
残りの原液は冷蔵保存で1年間保存可能なのでまとめて作っても大丈夫です。
このミョウバン水を1日数回手に吹きかけると、汗腺を塞ぐ効果が期待できます。
<ツボ押し>
ツボ押しは、まったくお金をかけることなく多汗症対策ができます。
・合谷(ごうこく)
手の甲の親指と人さし指の付け根の骨の間にあるツボです。
体の代謝異常をもとに戻す効果があります。 親指を使って軽く痛みを感じる程度の強さでツボを刺激します。 30秒程押してください。
・陰げき
手首の線を小指側に辿っていくとポコっと骨が出ている部分にあたります。 そこから人さし指1本分ひじに向かった部分に陰げきのツボはあります。
体の余分な熱をとる効果のあるツボなので、温熱性発汗に効果があります。
・復溜(ふくりゅう)
内くるぶし側に指を3本そろえて置いたちょうど上にあります。 内くるぶしの後ろ斜め上のくぼみにあるツボです。
体の水分異常を整える効果があるため、発汗の抑制ができます。 親指で揉むようにマッサージしてください。
・労宮(ろうきゅう)
手をグーの状態にします。そのときに中指の先端が当たる部分にあるツボです。
気持ちを落ち着かせる効果があるので、精神性発汗に効果的です。 深呼吸をしながら5秒間押したら、5秒間離します。 これを繰り返します。
最後に
手汗と言うとそこまで重度な病気とは感じずらいですよね。 しかし、重症化すると日常生活にも影響する立派な病気なんです。
そのため、少し手汗の量が多いなと感じたら、重症化する前にしっかり対策をする必要があります。
手掌多汗症についてさまざまな対策法をご紹介しましたが、薬剤を使用する場合は少しでも手に異常が出たら使用するのを中止して下さいね。 自分に合った対策法を見つけて、手汗を解消しましょう。