食用油は何回使えるのか 酸化の見分け方と正しい保存方法は?

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前回の記事「食用油の種類と特徴を解説 油がもたらす健康効果とは?」では、食用油がもたらす健康効果などについてお伝えしました。
しかし一方で、食用油は時間が経つと酸化し、健康に害を与える物質に変質すると言われています。
では、揚げ物などで何回使うと酸化するのでしょうか。 今回は、食用油の酸化の見分け方や酸化を防ぐ保存方法などについてお話しします。

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1.食用油の酸化とは?

空気中の酸素と油が反応して起こる変化の事を酸化と言います。 食用油は開封した時から酸化が始まるそうです。
酸化は酸素と触れること以外でも起こります。

・高温で加熱をし続ける
・日光や蛍光灯の光が当たるところに置いておく
・油の中に不純物(食材から溶け出した成分など)が混ざる
・高温多湿な場所での保管

このような場合にも油は酸化してしまいます。

特に私達が普段よく使用している植物油は酸化しやすく、油が酸化すると「過酸化脂質」が作られます。 この過酸化脂質が私たちの健康に害を与えるのです。

過酸化脂質とは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化された脂質の総称です。
別名「悪玉コレステロール(LDL)」とも呼ばれています。

活性酸素とは、免疫機能の一部で私たちの体に必要な成分です。 殺菌作用が強い一方で、酸化力も強くなっています。

2.食用油による害

酸化したらすぐに過酸化脂質が発生するという訳ではありません。 そのため、油を何度か再利用したとしても害はないと言われています。
しかし、重度の酸化状態になると、体に害を与える可能性があります。

①過酸化脂質による影響

過酸化脂質が血管内に溜まると血流を妨害します。 そのため、動脈硬化を引き起こす原因になります。
また、過酸化脂質が増えることで脂肪肝になる可能性もあります。
さらに、過酸化脂質は細胞膜やDNAも傷つけてしまいます。 すると体の免疫力が低下し、発ガンのリスクを高めてしまいます。
脂肪肝とは、肝臓が肥満状態になることです。 さまざまな生活習慣病を引き起こす原因になる場合もあります。

油の酸化による害は過酸化脂質以外にもあります。

②トランス脂肪酸による影響

トランス脂肪酸は、酸化する前の植物油にも少量含まれていますが、酸化した油にはトランス脂肪酸が多く含まれています。
このトランス脂肪酸を多量に摂取すると、狭心症や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。

③リノール酸による影響

リノール酸は植物油の主成分のひとつです。 リノール酸は、体に必要な必須脂肪酸であり、体内での生成ができません。 そのため、食事から摂取しなくてはならない脂肪酸です。
健康効果としては、血中のコレステロールを下げる役割を果たしてくれます。

ところが、リノール酸は加熱によって酸化すると、ヒドロキシノネナールという神経毒に変質します。 この神経毒には脳を萎縮させる効果があり、アルツハイマーやうつ病を引き起こす可能性があるのです。

また、過剰に摂取すると、脳梗塞や心筋梗塞、発がん、アレルギー疾患の原因にもつながります。

3.油は何回使える?

2006年に発表された論文によると、大豆油を200℃で24時間加熱しても油の成分に変化はない、という実験結果が出ています。

そのため、何回使ったら酸化するという明確な回数は実はありません。 どの時点で酸化するかは一緒に使う食材、油の種類、加熱温度、保存状態によって異なるのです。
では、どうやって酸化を見分けるのか、いくつかのポイントがあるのでご紹介します。

<酸化の見分け方>

・煙が出る
・油が冷めた時に粘りが出る。
・泡が消えにくい。
・色が濃くなる(褐色)
・不快なニオイがする。

何度も使用して酸化が進むとこのような状態になります。
色に関しては、揚げる食材によって付く場合もあるので、見極めは難しいかもしれません。
色以外の状態に注目して、油の交換目安にするといいと思います。

また、使用した油を状態よく保つ方法としては酸化に強い油を選ぶのも手です。
オレイン酸を含む油は酸化に強いです。 代表的なものとしてオリーブ油、ごま油、なたね油(キャノーラ油)があります。
ただ、オリーブ油やごま油は風味が特徴の油なので、加熱には不向きです。 揚げ物に使用するには、加熱に強いキャノーラ油がおすすめです。

4.油の保存方法

油の酸化の1番の敵は日光です。 蛍光灯の光でも酸化してしまうので、冷暗所に保管して下さい。 また、少し手間はかかりますが、密閉性の高い容器に入れておくと酸素と触れるのを防ぐことができます。

<揚げ物などに使用した油の保管について>

1度使った油を状態よく保存するにはフィルターのついたオイルポットがおすすめです。
油に混ざった不純物をフィルターでろ過することができるので、使った油をキレイにできます。

活性炭を使ったフィルターだと、不純物をろ過するだけでなく油のニオイを消臭することもできます。 ポットのデザインもたくさんあるので、お好みのデザインを選んでみてください。

最後に

通常の油の使用法であれば、酸化の影響は心配はあまり必要ないことが分かりました。
保管方法に気を付ける、劣化を感じたら油を交換するといった点を守って使いましょう。

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