5回に渡って重曹のさまざまな活用法をご紹介しています。 3回目の今回は料理です。
重曹は、掃除や洗濯だけでなく、料理でも活躍してくれるのです。
1.食用と掃除用との違い
重曹には薬用・食用・工業用(掃除用)の3つに分類されます。
成分自体には違いはありません。 しかし、純度、すなわち、不純物の量が異なります。
重曹は薬用、食用、工業用があり、薬用が最も精製度が高く、きめも細かくなっています。
次に精製度が高いのが食用で、きめは少し粗くなります。
そして、工業用は1番精製度が低くきめも粗くなっています。
工業用は不純物の量が多いので、口に入れないでください。
食用の重曹は、商品として流通する前に厳しいチェックが行われています。 そのため、安心して使うことができます。 ただし、摂取量には十分気を付けなければなりません。
2.重曹の危険性
食用の重曹の摂取量は「1日5g以下」に抑える必要があります。 これ以上の量を摂取してしまうと、以下のような危険性があります。
<塩分過多>
重曹にはナトリウム(塩)が含まれています。
そのため過剰摂取してしまうことにより塩分の取り過ぎになってしまいます。
そのため、血圧の高い人などは摂取量に注意が必要です。
<アルカローシスを引き起こす>
人の体は弱酸性で保たれています。 それに対して重曹は弱アルカリ性でできています。
そのため、重曹を過剰摂取するとphがアルカリ性に傾いてしまいます。 体内がアルカリ性に傾くと、さまざまな症状が起こります。
具体的には、筋肉のひきつけ、しびれ、手の震え、けいれん、吐き気、胃の粘膜が荒れるなどです。 このような症状をアルカローシスと言います。
<phとは>
酸性からアルカリ性の間に0~14の目盛りをつけてこの2つの度数を数値化したものです。
ph7以下は酸性、ph7以上はアルカリ性となります。 真ん中の数値にあたるph7は中性となります。
重曹にはこのような危険性がありますが、最初にご紹介した摂取量を守れば大丈夫です。
摂取量をしっかり守ってくださいね。
3.食用重曹の使い方
それでは、食用の重曹の使い方をご紹介していきますね。
①肉を柔らかくする
重曹にはたんぱく質を柔らかくする軟水効果や、たんぱく質を分解する効果があります。
たんぱく質を分解することで、肉の筋繊維をほぐすことができます。 そのため、安くて硬い肉でも柔らかくなるのです。 この時に油や水と併用するとさらに効果を発揮します。
<用意する物>
・お肉 ・水 400cc ・重曹 小1 ・塩 小1
・ジップロック又はビニール袋
<やり方>
ジップロックやビニール袋に肉以外の材料を全ていれてよく混ぜます。
そこに肉を入れたら空気を抜きます。 あとは冷蔵庫で6時間~2日間つけ込みます。 時間がない時は1時間程度でも効果は期待できます。
つけ込んだ後は肉を一度水洗いします。 (重曹の苦味をとるため)その後キッチンペーパーで水分を拭き取ってから料理に使用してください。
②エビやイカをプリプリにする
重曹のたんぱく質分解作用により、エビやイカなどの身が縮んで硬くなるのを防ぐことができます。 そのため、プリプリとした食感が楽しめます。
<用意する物>
・水 2と1/2cup ・重曹 大1 ・塩 大1/2
<やり方>
上記の材料を全てボールにいれます。あとはエビやイカを入れ、20~30分浸します。
③山菜(わらびなど)のアク抜き
山菜には繊維が多く含まれています。
重曹のアルカリ性は、この繊維を柔らかくする働きがあります。 そのため、アクが抜けやすくなるのです。 山菜だけでなくたけのこのアク抜きもできます。
山菜(わらび)の場合
<用意する物>
・水 1L ・重曹 大1
<やり方>
水を沸騰させたら、重曹と山菜いれ10秒煮ます。 10秒経ったら、水を張ったボールに30分つけておけばアク抜き完了です。
たけのこの場合
<用意する物>
・水 1L ・重曹 小1
<やり方>
皮を剥いたたけのこと水、重曹を入れてから火をつけます。 沸騰したらそのまま5~10分煮て下さい。 煮たら冷めるまで放置して、熱がとれたら冷水にいれます。
4.ベーキングパウダーとの違い
①ベーキングパウダーとは
お菓子作りなどによく使われる粉末で、ケーキなどを膨らます働きをします。
主成分は重曹になります。 そこに複数の酸性剤や分散剤を加えたものがベーキングパウダーになります。
ベーキングパウダーが溶けることにより炭酸ガスが発生します。 このガスの効果で生地が膨らむ仕組みになっています。 ただし、すぐに焼かないと膨らまなくなってしまいます。 気を付けましょう。
<酸性剤とは>
重曹の分散を助け、ガス発生の温度やスピード、phを調整します。代表的な物としてクエン酸やフマル酸があります。
<分散剤とは>
保存中にガス発生剤と酸性剤が反応しないように分離させてくれます。代表的な物としてコーンスターチと小麦粉があります。
②重曹とベーキングパウダーの違い
・炭酸ガスの発生方法
ベーキングパウダーは、水に溶けることで炭酸ガスが発生します。 それに対して重曹は、熱を加えることで炭酸ガスを発生させます。
・苦味の有無
ベーキングパウダーには酸性剤が含まれています。 アルカリ性が中和されているので苦味はありません。 それに対して、重曹はアルカリ性のため、苦味があります。
ベーキングパウダーと重曹の違いにはこのような違いがあります。
一般的には味が濃い物や焼き色をつけたい時は重曹、軽い仕上がりにしたい時にはベーキングパウダーと使い分けます。 また、料理の材料に卵、小麦粉、牛乳など酸性のもとになる物が入っていれば、重曹がベーキングパウダー代わりになります。
最後に
このように、重曹は食用としてもさまざまな使用法があります。
少し苦味があるので、下処理で使用した場合は洗い流して下さいね。
また、1日の使用量は必ず守るようにしましょう。