家族のいびきがうるさかったり、自分のいびきに驚いて起きたという経験ありませんか?
いびきは、うるさいな~と思う程度で済ませがちです。
しかし、慢性的ないびきには病気が潜んでいる可能性があります。
そこで今回は、このいびきについて詳しくお話しします。
1.いびきの原因
いびきは、上気道が狭くなることで起こります。
上気道とは、鼻から気管の入口までの空気の通り道です。 狭まった上気道に空気が流れこむと空気抵抗が大きくなり、呼吸をした際に粘膜が振動していびきが生じるのです。
この上気道が狭くなる原因として、以下のものがあります。
・寝姿勢
・口呼吸
・肥満
・風邪や鼻炎などによる鼻詰まり
・疲労やストレス
・飲酒
いびきの原因は、日頃の生活習慣に潜んでいるんですね。
ただ、1人暮らしをしている人は、自分がいびきをかいているのか分からないですよね?
この点、自分がいびきをかいているかどうかを推測する方法があります。
起きた時に、
・口全体の乾きがある
・喉の痛みがある
・頭痛がする
こういった症状がある場合には、いびきをかいている可能性があります。
2.いびきの種類
ところで、いびきには大きく分けて「単純性いびき」「睡眠時無呼吸症候群」「上気道抵抗症候群」の3種類があります。
それぞれどのようないびきなのかご説明していきます。
①単純性いびき (単純いびき症)
単純性いびきとは、「風邪などによる鼻詰まり」「疲労」「飲酒」「睡眠薬の服用」などによっておこるいびきをさします。 一時的なものなので、健康に影響はありません。
ただ、毎日のようにいびきをかき続けると、睡眠時の脳と身体の休息が不十分となり、健康に悪影響を及ぼす場合があります。
さらに悪化すると、次にご紹介する「上気道抵抗症候群」や「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こす可能性もあります。
②睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。
睡眠中に無呼吸や低呼吸が1時間に5回以上、もしくは一晩に30回以上現れると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
無呼吸とは、10秒間以上呼吸が停止した状態をいいます。
低呼吸とは、10秒間以上鼻腔の気流量が50%以下に減少した状態をいいます。
つまり、呼吸が止まりかけていることをさしています。
③上気道抵抗症候群
上気道抵抗症候群とは、何らかの原因で恒常的に上気道が狭くなることによっておこるいびきをさします。 慢性的な症状であり、呼吸が妨げられるという点で軽度の睡眠時無呼吸症候群とも言えます。
上気道抵抗症候群は、あごが小さい、首が太い、肥満といった体型の人に多い症状とされています。 また、脳血管障害や心臓病、糖尿病などの徴候として表れることが指摘されています。
慢性的にいびきをかいている人は、上気道抵抗症候群または睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
断続的な呼吸停止は、体内の酸素不足や心臓への負担、脳の覚醒などさまざまな影響をもたらします。 放置せず早めに専門医の治療を受けてください。
3.いびきの対策
①ダイエット
肥満は、首回りや喉回りだけでなく、上気道の壁にも脂肪がついてしまいます。
すると上気道は狭くなり、いびきをかきやすくなるのです。
ですから体重を標準値に落とすことで、いびき対策になります。
②寝姿勢
仰向けの姿勢は、重力によって舌が喉の奥に落ちこみ、上気道を狭くしてしまいます。
その結果、いびきの原因になってしまうのです。
寝るときの姿勢を横向きにすると、舌の落ちこみを軽減できます。
抱き枕や、枕の片側を高くしたりなど横向きになりやすい工夫をしてみましょう。
③鼻呼吸をする
口呼吸は鼻呼吸よりも気道が狭くなりやすく、いびきをかきやすいです。
特に鼻炎の人は、口呼吸になる傾向があるのでいびきの症状がある場合、耳鼻科などで治療をして鼻呼吸をラクにおこなえるようにしましょう。
また、鼻腔を広げるテープといった鼻呼吸の手助けアイテムを使用してみるのも良いかと思います。
④寝る前の飲酒を控える
アルコールには、全身の筋肉を緩める作用があります。
そのため喉回りの筋肉が緩み、上気道を狭めてしまう可能性があるのです。
さらに血行を促進させる作用もあります。
その結果、血管が拡張され粘膜が腫れてしまい、鼻詰まりも起こしやすくなります。
ですから、飲酒は最低でも寝る3?4時間前までにするようにしてください。
⑤口周りのトレーニングをする
口呼吸になる原因の1つには、筋肉のおとろえがあります。
口周りの筋肉を鍛えることで、口を閉じておく力をつけましょう。
口周りのトレーニング方法に「あいうべ体操」というものがあるので、ご紹介しますね。
<あいうべ体操のやり方>
(1) 普段より大きく口を開いて「あ」を発音する時の口の形をします。
(2)「い」の形を、首に筋が張るまで横に大きく開いておこないます。
(3) 口をしっかり前に突き出して「う」の形をします。
(4) 舌をあご先につけるようなイメージで、べーっと舌を下に向かって突き出しましょう。
(1)から(4)までを1セットとして、1日30回おこないます。
この時、発声はしてもしなくてもどちらでもいいです。
5.いびきの治療法
①鼻マスク (CPAP)
この治療法は、経鼻的持続陽圧呼吸療法といいます。
CPAPと呼ばれる鼻マスクを、寝ている間装着して継続的に空気を送り続ける治療法です。
それにより、喉の塞がりを防いで気道を確保することができます。
この装置を使用するには、医師の診断が必要です。
必要とされる基準は睡眠時無呼吸症候群の中でも、症状が中等症以上の人に限定されています。 装置はレンタルができ、月額5,000円程度になります。
②マウスピース
マウスピースで下あごを数ミリ前に出して固定をする治療法です。
そうすることで気道を広く確保することが可能となり、軽度ないびきに有効とされています。
通販などでも購入できますが、歯科医院で自分に合うマウスピースを作る方が、いびきの予防効果は高くなります。
③レーザー治療
レーザーを使用して、気道を塞ぐ原因となっている粘膜を切除する治療法です。
即効性があり、90%以上の人に症状の緩和や改善が見られるとされています。
レーザーによる手術は、10分~15分程度と短時間で終わります。
さらに痛みや出血も少なく、日帰り手術が可能です。
手術費用は、3万円程度が相場となります。
最後に
いびきをかくのは男性が多いというイメージを持たれているかもしれません。
ですが、近年では女性の社会進出などもあり、いびきで悩む女性も増えているのが現状です。
睡眠時無呼吸症候群は、重症化すると日常生活に支障をきたします。
そのため、早めの対策が大切です。
軽度であれば、上記で紹介した対策法を行うだけでも改善効果が期待できます。
今いびきで悩んでいる人は、ぜひ実践してみてください。