口臭って嫌よねですよね。 最近では「スメルハラスメント」という社会問題として取り上げられるほどです。
でも、他人の口臭は気になれど、自分の口臭には気付きにくいものです。 あなたのお口は大丈夫ですか? 今回は、そんな口臭の原因や対策・予防法についてお話しします。
1.口臭の三大原因
口臭の三大原因として、
・ドライマウス
・口内の汚れ
・病気
が挙げられます。
口臭がキツくて悩んでいる人は、ほとんどがこの原因のいずれかに当てはまります。
2.ドライマウスによる口臭
①ドライマウスとは
ドライマウスとは、口内が乾燥している状態のことを言います。
唾液量が減り、乾燥状態が続くことで口臭の原因となる嫌気性細菌が繁殖します。 嫌気性細菌は、無酸素の状態で生育する細菌です。
この細菌の繁殖によって口臭がキツくなってしまうのです。
ドライマウスになりやすい人として、
・たばこを吸う人
・食生活が不規則な人
・口呼吸をしている人
このような人が挙げられます。
また、ドライマウスは女性に多いそうです。 中でも中高年層、更年期の女性が割合の多くを占めています。
②ドライマウスによる症状
症状が軽度であれば、
・口の中のネバつき
・口の中が乾く
・虫歯、歯垢、舌苔の増加による口臭
などの症状が表れます。
軽度であれば、生活習慣を改善することで比較的簡単に改善できます。 しかし、加齢などによる唾液分泌機能の低下や糖尿病が原因の場合は治療が必要となります。
③ドライマウスと唾液
唾液は、口内の水分量を保つために重要な役割を果たしています。
そのため、ドライマウスを防ぐには唾液が必要不可欠です。 また、唾液には口内を洗浄する作用や殺菌作用もあります。
しかし、ドライマウスになってしまうと唾液量は減少し、口内に食べカスが残りやすい環境になります。 さらには、食べカスをエサに細菌が繁殖。 細菌増加や汚れがたまることで口臭が発生してしまうのです。
④ドライマウスの対策
・水分をこまめにとる
口内の乾燥を防ぐために水分補給をこまめにして潤いを保つようにします。
・ガムを噛んで唾液を分泌
噛んだり舌を動かすことで唾液の分泌を促すことができます。 ガムを噛む時はシュガーレスやキシリトールが配合されているものを選びましょう。
・たばこやお酒を控える
たばこに含まれるニコチンやアルコールは口内の乾燥の原因になります。 ドライマウスで悩んでいる人は控えるようにしてください。
・薬の副作用の場合は主治医に相談
高血圧や花粉症、精神疾患の薬の副作用として口内が乾燥する場合があります。
継続して飲まなくてはいけない場合は、1度主治医に相談してみてください。
3.口内の汚れによる口臭
口内が汚れていると、細菌が繁殖しやすくなり口臭もキツくなってしまいます。 口内の汚れについて代表的なものをご紹介します。
①舌苔
舌苔(ぜったい)とは、舌の角質に細菌や汚れが溜まることで白く苔が生えたように見える症状のことを言います。
舌苔も唾液の分泌量の減少が関係しています。
唾液が減ることで舌の上の食べカスや舌の上皮カスが洗い流されず溜まっていき、それらが細菌によって腐敗すると口臭の主成分である硫化水素が発生します。
<舌苔ができる要因>
・舌の運動機能の低下
舌の動きが悪くなると唾液の分泌量が減少します。そのため舌表面の汚れが落ちにくくなってしまいます。
・舌の位置が低い
舌の位置は上顎についているのが正しい位置です。そのため常に舌と上顎が擦れて汚れを落とすことができます。
しかし、舌の位置が低い人は舌と上顎が当たりません。 そのため、汚れを擦り落とすことができないのです。
・抗生物質による作用
抗生物質やステロイド剤を長期間飲んでいると、口内細菌の種類が変わってしまいます。
通常の舌苔は白いのですが、黒毛舌(こくもうぜつ)という黒い舌苔が発生します。
黒くなる原因としてカンジダ菌の増加があります。 さらに、硫黄化合物と血液中のヘモグロビンが結びつくことで黒くなると言われています。
カンジダ菌は、口内に存在する常在菌(カビ)です。 病原性は弱いです。 健康な口内の状態では舌に苔を作ることはありません。
<舌苔の対策>
特別な治療が必要な症状ではありません。 しかし、舌苔が気になる時は舌ブラシを使うことでキレイになります。
・鏡を見ながら舌を前に出し、舌苔のある場所を確認する
・舌ブラシを水に浸し、奥から手前に引いてくる。 奥まで入れすぎないように優しく行います。 数秒間息を止めると嘔吐反射が出にくくなります。
・ブラシを手前に引いてきたらブラシを水で洗い流します
・上記の3つの動作を汚れがつかなくなるまで繰り返します
舌ブラシは、やり過ぎると舌の粘膜を傷つけてしまう可能性があります。 そのため1日1回までにしてください。
②膿栓
膿栓(のうせん)とは、喉の扁桃腺付近にできる固形物のことです。
見た目はピーナッツの破片に似ています。 大きさは1㎜程度から大きなものだと数㎝にもなるそうです。
膿栓は別名「臭い玉」とも呼ばれています。 腐ったチーズのような臭い、ドブや下水の臭いと表現されるほどの悪臭を放ちます。
<膿栓ができる仕組み>
膿栓の正体は細菌と白血球の死骸の塊です。
膿栓ができる付近にある扁桃腺は、喉の奥の左右にあります。 扁桃腺は免疫に関係していて、粘膜内に浸入してきた細菌やウイルスが体内に浸入するのを防ぐ働きをしています。
この扁桃腺の周辺の粘膜にはいくつかの穴があいていて、そこに細菌や白血球の死骸、食べカスがまざり固まることで膿栓ができるのです。
喉がイガイガしたり、喉から鼻に抜けるような悪臭を感じたら、膿栓ができている可能性があります。
膿栓ができやすい人として、
・口呼吸をしている
・ドライマウスの人
・風邪を引いている
・耳鼻科の炎症がある
このような症状がある人は膿栓ができやすいそうです。
<膿栓の対策>
膿栓は取り除いても何度もできてしまいます。
無理矢理取り除くよりも、先ほどドライマウスの対策でもご紹介した唾液量を増やす対策をしましょう。
唾液量が増えることにより、膿栓を洗い流すことができます。
③たばこ
たばこは肺などに影響を与えるだけではなく、口内汚れの原因にもなります。
喫煙者は非喫煙者より1.4倍も口臭が臭い人が多いと言われています。
<タールによる影響>
たばこは臭いイメージですが、実はたばこ自体の臭いは強くありません。
しかし、たばこに含まれいるタールという植物樹脂が歯や舌の表面に付着することで臭いを発します。 ヤニ臭いと言われるのは、このタールの影響なのです。
<ニコチンによる影響>
ニコチンは神経毒性が強い成分です。 そのため、口内の血液循環を悪くし、唾液の分泌を抑制してしまいます。
こうして口内に汚れや細菌が溜まり口臭の原因となるのです。
<歯周病リスクを高める>
ニコチンによる口内の乾燥、タールによる汚れの付着により菌が増殖しやすくなります。
タール汚れに付着した菌は、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の溝を深くしてしまいます。
歯周ポケットに汚れが溜まりやすくなることで、歯周病のリスクが高まるのです。
<対策は禁煙>
たばこの対策は禁煙が1番です。 たばこには依存性物質のニコチンが含まれているので、やめるのに苦労する人も少なくありません。
しかし、禁煙することで口臭は少なからず改善されます。 また、ご存知の通りたばこの害は口臭だけではありません。 まずは本数を減らすことから始めてみましょう。
4.病気による口臭
口内の病気や内蔵の病気が原因でも口臭が発生します。 そこで、どのような病気があるのかご紹介します。
①虫歯
1度はなってしまった人の方が多いとされる虫歯も、立派な口内の病気なんです。
虫歯の原因菌・ミュータンス菌が歯を溶かしていきます。 進行が早いのが特徴です。
ミュータンス菌が歯を溶かす際、酸を出します。 この酸が食べカスなどを分解するときに発酵臭を発生させます。
また、放っておくとどんどん進行して神経を腐らせてしまいます。 歯の神経が腐ってしまうと腐食臭も発生するので、口臭がさらにキツくなる原因になります。
<対策>
虫歯を見つけたら、悪化する前に歯科医を受診しましょう。
予防法としては、やはりブラッシングをしっかり行い、口内を清潔に保つようにしましょう。
また、ミュータンス菌の好物とされる糖の摂取を控えるのも有効です。
②歯周病
虫歯と同じと思われがちですが、虫歯が歯の病気であるのに対して歯周病は歯肉の病気で、虫歯とは全くの別物なんです。
歯周病は、歯の周りにある歯肉や骨を溶かしていく病気です。 そのため、歯ぐきから膿や出血があると腐食臭のような強い口臭を発生させます。
<対策>
虫歯と同様、早めの歯科医受診をおすすめします。 歯周病は骨を溶かす病気なので、進行すると歯を失うことになります。
予防法としては、歯科医で定期的に歯のクリーニングをして歯石を取り除いてもらうこと。
自宅でできる対策としては、歯ブラシとフロス(歯の間の歯垢を清掃する細い糸)を併用して歯の隙間の汚れをしっかり取り除くことです。
③胃の病気
・胃炎
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
・胃がん
上記のような潰瘍などがあると胃が消化不良をおこします。
それにより、消化されなかった食べ物が異常発酵し、肉の腐ったような腐敗臭を発生させるのです。
<対策>
・みぞおち部分の痛み
・吐き気
・胸焼け
このような症状を感じたら、早めに内科や消化器系の病院で受診しましょう。
最後に
口臭と言っても原因にはさまざまなものがあるんですね。
ドライマウスや口内の汚れであれば、普段のケアで対策することができます。 しかし、病気による口臭の場合は早めの受診をしなくてはなりません。 普段のケアで口臭がなかなか改善されない場合は、1度病院を受診してみることをおすすめします。
なお、自分の口臭の度合いを計るにはブレスチェッカー(口臭チェッカー)を使うといいでしょう。 自分の感覚と測定結果がズレるときもありますが、目安にはなると思います。
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