前回の記事でお伝えしたように、プラセンタ注射を打つことにより健康・美容面で幅広い効果が期待できます。
しかし、本当に良いことばかりなのでしょうか?
今回はプラセンタ注射の注意点や投与によって生じる可能性がある副作用などのリスクについてお話しします。
1.プラセンタ注射の副作用
プラセンタ注射の主な投与方法となっている皮下注射や筋肉注射では、重度の副作用が起こることはほぼないと言われています。
軽度の副作用としては、極まれに悪寒や発熱、発疹が起こることがあるそうです。
このような副作用があらわれた場合はすぐに投与をやめましょう。
また、プラセンタ注射薬は「たん白アミノ酸製剤」なので、アレルギー反応や閉経後の月経再開が生じることがあります。 投与をやめればすぐに治るそうなのですが、アレルギーを持っている方は投与をする前に医師に相談をしてからにしましょう。
あとは注射部分が赤くなったりすることがありますが、これはプラセンタ注射に限らず注射の宿命です。 半日程度で消えるものなので気にする必要はありません。
なお、副作用が報告されているのはラエンネックのみです。 メルスモンを投与した際の副作用は報告されていません。 ラエンネックとメルスモンについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
2.静脈注射とカクテル注射について
皮下注射と筋肉注射の他に、静脈注射とカクテル注射という投与方法があります。
以前は「良く効く」という風説があったことでよく行われていたようですが、いずれも「認可されていない投与方法」です。
①静脈注射
静脈注射は、その名の通り静脈にプラセンタ注射薬を注射する方法です。
静脈注射をすると、
・血圧低下 ・ショック状態 ・呼吸困難
・チアノーゼ ・痙攣 ・ホルモン異常
などといった症状が実験であらわれたため認可されていません。
また、静脈に投与してもすぐに体外に排出されてしまい、効果は期待できないそうです。
2004年には日本胎盤医療研究会という機関が、静脈注射はショック症状を引き起こす可能性があるため行わないように、と注意喚起をしています。
現在、静脈注射をしている病院やクリニックはないとは思いますが、念のため知っておきましょう。
②カクテル注射
カクテル注射とは、プラセンタ注射薬にプラセンタ以外の美容成分を混ぜ合わせたものを注射する方法です。
カクテル注射も静脈注射と同様の副作用が生じる可能性があります。
美容クリニックではカクテル注射を行っているところが多いようなので、安全性をしっかり確認してから投与を受けて下さい。
このような症状がプラセンタ注射の副作用としてあるのですが、対策としては、
・美容目的ならリスクの少ないメルスモン
・異変があったらすぐ医師に報告
・血液検査を定期的に受け、肝機能に問題ないか確認する
・プラセンタ注射投与は筋肉注射か皮下注射を選ぶ
以上を参考にしてみて下さい。
次に、副作用ではありませんが、プラセンタ注射をすると献血ができなくなる、という点についてご説明します。
3.プラセンタ注射すると献血できない
平成18年10月10日から日本赤十字では、過去にプラセンタ注射の投与を受けたことがある人の献血を当面の間制限することにしました。
制限の対象はプラセンタ注射を投与した人のみです。 豚や馬のプラセンタをサプリやドリンクなどで経口摂取している場合は対象外となります。
なぜプラセンタ注射だけが制限対象になるのかと言うと、原料がヒト胎盤を使用しているからです。 ヒト胎盤を使用していることで、クロイツェルトヤコブ病という感染病にかかるリスクがゼロではないというのです。
ヤコブ病はプリオンと呼ばれる病原体が脳に蓄積され神経細胞を破壊する病気で、普段の生活で感染することはないものの、感染した場合は確実に死に致る病気です。 発症率は100万人に1人の割合で、プラセンタ注射投与からの感染例はゼロなのですが、解明されていない部分が多く感染リスクを少しでも軽減するために献血を制限しているそうです。
ただし、これは万が一の措置なのでプラセンタ自体にはほとんど危険はないそうです。
献血できないのは「当面」とされているので、今後リスクがないことが証明されれば、献血できるようになるかもしれません。
他にプラセンタ注射の影響としてよく言われるのが、太る、痛いといったことです。
次の項目で見ていくことにしましょう。
4.プラセンタ注射で太る?
プラセンタ注射で太るというのは間違いです。
栄養価は高いのですが、カロリー自体は少ないので太ることはありません。
太ると言われている理由は、プラセンタの再生効果により代謝が良くなってエネルギーが消費されやすい体質になり、食欲増進に繋がるということが考えられます。
もう1つは、プラセンタに含まれる成長因子の働きによって肌のハリや弾力が良くなるので、実際には太っていなくても少しふっくらして見える場合があるということのようです。
実際は代謝機能が向上しているので、食生活などに気をつけていれば逆に痩せるはずです。
5.プラセンタ注射は痛い?
痛さを感じるのは人それぞれですが、皮下注射だとインフルエンザなどの予防接種よりも痛みは少ないそうです。
一方、筋肉注射は皮下注射よりも深く針を刺すため、痛みは強くなります。
ただ、注射直後はそれほど痛みはなくても時間が経ってから筋肉痛のようなにぶい痛みを感じる場合があって、中には2~3日痛みが続く場合もあるようです。 その代わりに、筋肉注射は皮下注射より高い効果が期待できます。
このような痛みを避けたいのであれば、お尻に注射をすると痛くないそうですよ。
最後に
プラセンタ注射の副作用や注意点などについてお話ししてきました。
ヒトプラセンタもかなり高い安全性はあるのですが、万が一のことがあるということをよく知った上で投与を受けましょう。