花粉症のメカニズム なる人とならない人がいるのはなぜ?

シェアする

184 e4947e551c2e93b2c267eaae4de4a263_s

花粉の飛散がピークを迎える時期でも、マスクすらせずに涼しい顔で通り過ぎていく…
重度の花粉症で悩む私としては、花粉症でない人が羨ましくて仕方がありません。
一体花粉症になる人とならない人の差は何なのでしょうか。
今回は、花粉症のメカニズムについて探ってみたいと思います。

スポンサーリンク
レクタングル大

1.花粉症とは

①花粉症の種類

アレルギー性鼻炎には2種類あります。

・季節性アレルギー鼻炎
・通年性アレルギー鼻炎

花粉症はこの2つのうちの「季節性アレルギー鼻炎」に該当し、鼻炎を引き起こす花粉が飛んでいる季節にのみ症状が現れるものです。
花粉症というとスギだけをイメージしがちですが、花粉症を引き起こす花粉はスギだけではありません。
日本では花粉を持つ植物が60種類以上あり、そのうちの「スギ」「ヒノキ」「ブタクサ」が花粉症を引き起こす3大花粉とされています。

花粉が飛散する時期もそれぞれで異なり、必ずしも春先というわけではありません。
飛散時期に関しての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

早めの花粉症対策が吉。ピークはいつから?種類別飛散時期まとめ

②風邪と花粉症の見分け方

花粉症の主な症状は、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、喉のかゆみなどです。
これらは風邪の初期症状に似ているので、初めて発症したときには区別がつきにくいかもしれません。 そのため、対応が遅くなってしまう人も多いようです。
両者の見分け方は、次の通りです。

(1) 鼻詰まり
風邪:両方の鼻が一気に詰まることはない
花粉:両方の鼻が一気に詰まる

(2) くしゃみ
風邪:出ることもあるが、そこまで多くない
花粉:ひっきりなしに出る

(3) 目のかゆみ
風邪:無
花粉:ひどくかゆみを感じる

気になる場合はまず内科で診察をしてもらいましょう。
その際に花粉症と診断されると耳鼻科の受診を勧められます。

2.花粉症のメカニズム

花粉は私たちの体の中に入った後どのような動きをしているのでしょうか?

(1) まず花粉が口や、鼻から体内へ侵入

(2) リンパ球が花粉を有害なものか、無害なものか判断する

(3) リンパ球が花粉を有害なものだと判断した場合には、IgE抗体と呼ばれる有害なものに対抗するための物質を分泌する

(4) 抗体は、再び花粉が体内に入ってくるとその時に粘膜細胞の抗体と合体する

(5) 肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌され、花粉を外へ排出しようとする

この花粉を外へ排出しようとする働きが、くしゃみや咳となって現れるのです。

3.花粉症患者が増加しているのはなぜ?

毎年花粉症の季節になるとテレビで「今年は花粉が多いです」「花粉症を発症する人が増加」といった特集を見かけます。
なぜ花粉症にかかる人が増えてきているのでしょうか?

①スギの植林事情

今私たちがよく見かけているスギの木は、いつ頃植えられたか知っていますか?
スギは大きくなるまでに40年以上かかると言われています。
スギの木の植林が活発に行われていたのは昭和30年頃で、その頃植えられた大量のスギの木が大きくなり、今まさに花粉をまき散らす樹齢になっているのです。

老木になってしまえば花粉は分泌量は減少するとされていますが、それまでは今の花粉量が続きます。
ヒノキも同じで、ヒノキが木材として人気が出たため、1960年から20年に渡って本数が3倍以上になっています。
さらに、ヒノキはスギの花粉ととても似ているので、より反応を促してしまうようです。

②林業の衰退

木も誰かが手入れしなかければそのまま伸び放題・倒れ放題になってしまいます。
本来それらを管理してくれる林業に携わっている人が年々減ってきています。
そのため、木は荒れ放題になってしまい、伸びた枝にどんどん雄花が着花し、花粉を作りだしているのです。

③生活習慣や、食生活の大きな変化

現在では夜遅くまで働いていて、寝るのが日付をまたいでしまったり、ファーストフードを摂取したりと昔と比べて生活習慣も食生活も大きく変わっています。
動物性たんぱく質や、動物性脂肪の摂取の増加・不規則な生活・ストレス… これらはアレルギー症状の原因と言われています。

④衛生管理の発達

日本はとても衛生状態のいい国で、病原菌もかなり減っています。
そのため、人々の免疫力はかなり上がっていますが、病原菌が減っているために本来無害なはずの物質にまで過剰な反応をしてしまうようになりました。
その結果、花粉症の症状も重くなっているのです。

4.花粉症を発症する人、しない人

大人になって花粉症を発症する人の話をよく聞きます。
子供の頃は大丈夫だったのに、なぜいきなり発症するのでしょうか?

コップを使ってイメージしてみましょう。
あなたが持っているコップにどんどんIgE抗体が溜まっていきます。
そしていつの日か、新しく作られたIgE抗体がコップから溢れ出る時に花粉症は発症します。

実は、このコップの大きさ(IgE抗体の許容量)は人によってまったく違うのです。
今までかからなかった人は、IgE抗体がコップに収まっていたので発症しなかっただけ。 つまり、コップが大きい人は花粉症になりにくいのです。
なぜ人によって違うのかは、アレルギーへの抵抗力や免疫力の強弱によるものと考えられています。

ということは、今は大丈夫な人もまったく安心はできないということです。
IgE抗体を作らないよう、花粉を極力体内に入れないことが花粉症の発症を防ぐ・遅らせるポイントになります。
まだ発症していない人も、飛散のピーク時にはマスクをするなどの予防措置をとることをおすすめします。

5.花粉症は遺伝するのか

自分が親になった時に気になるのが、「自分の花粉症は、子供に遺伝することがあるのか」ということかと思います。
この「花粉症は子供に遺伝するか?」という問いに対する答えは、「YES」になります。
ただ、必ず遺伝するということではなく、「遺伝する可能性が高い」という言い方が正しいようです。

ロート製薬の調査によると、両親ともに花粉症でない場合にその子どもが発症する割合が11.6%であるのに対し、両親がどちらも花粉症の場合には43.2%の子どもが発症していたといいます。

さらに、父親のみが花粉症である場合よりも、母親のみが花粉症である場合の方が、子どもの発症率が10%近く高い数値を示したそうです。
つまり、花粉症に関しては、こどもは母親の影響をより受けやすいということになります。

最後に

いかがでしたか?
「花粉症」と聞くだけでなんだか鼻がむずむずしてきますが、仕組みや原因が分かれば対処もしやすくなります。
私も重度の花粉症です。 花粉症の方は今シーズンも頑張って一緒に乗り切りましょう。

スポンサーリンク
レクタングル大
レクタングル大

シェアする

フォローする