粉末洗剤と液体洗剤の違いと使い分け方 第3の洗剤についても解説

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先日、田舎に住む祖母から、これまでずっと粉末洗剤を使ってきたけど、液体洗剤をもらったので使ってみたら汚れが落ちない、という話を聞きました。
単なる製品の性能差では?とも思ったのですが、調べてみたところ、意外な事実が分かったのです。 というわけで今回は、洗濯洗剤のタイプ別の違いや使い分け方についてお話しします。

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1.粉末洗剤と液体洗剤の違い

洗剤には粉末と液体がありますが、何が違うのでしょうか?  汚れ落ちでしょうか? ニオイでしょうか? それとも両者の間に違いはなくて、単に消費者の好みで選ばれているだけなのでしょうか?
ちなみに、私はそんなことはまったく意識することなく生きてきたクチで、これまでずっと粉末派でした。

結論から言うと、粉末洗剤と液体洗剤にはそれぞれ特徴があり、得意なこと・不得意なことがあるのです。
では、粉末洗剤と液体洗剤、それぞれの特徴を見ていきましょう。


<粉末洗剤の特徴>

〇洗浄力・漂白力が強い
〇安価
×扱いにくく冷たい水に溶けにくい
×色落ちしやすい=素材への影響が出やすい

<液体洗剤の特徴>

〇扱いやすく冷たい水にも溶けやすい
〇すすぎが1回で済む
〇色落ちしない=素材への影響が出にくい
×洗浄力がやや劣る
×粉末洗剤と比べて高価

一般的には大体このような感じになります。

つまり、

粉末洗剤のメリットは液体洗剤のデメリットであり、液体洗剤のメリットは粉末洗剤のデメリットである

といった具合に、両者は相反する性質を持っているのです。

粉末と液体。 形態が違うだけで、機能的には同じ物であると疑いもしなかった私としては、とても意外な結果でした。
なお、粉末洗剤が冷たい水に溶けにくいというデメリットは、あらかじめぬるま湯に洗剤を溶かすことで解消できます。

2.どちらを選ぶべきか

両者の洗浄力の違いは、主に粉末洗剤が弱アルカリ性、液体洗剤が中性という水溶液の性質によるものです。
衣類の汚れは酸性。 したがって、アルカリ性である粉末洗剤の方がよく落ちるというわけです。 とてもシンプルな理屈ですね。

ただし最近は、液体洗剤にも弱アルカリ性の製品が登場しています。 花王のアタックやP&Gのアリエールなどですね。
しかし、弱アルカリ性の液体洗剤は水に溶かすと中性に近づく性質があり、洗浄力の点では粉末洗剤に一日の長があります。

一方、粉末洗剤には漂白剤と蛍光増白剤という成分が入っており、これが良くも悪くも衣類に影響します。
これらの成分は白をきれいに見せる効果があるので、白い衣類には高い効果を発揮する一方、逆に色柄物には悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、化学物質アレルギーを持つ人の中には、蛍光増白剤に反応してしまう人もいるようです。

したがって、両者はどちらがいい悪いではなく、両者の特性を知った上で、

目的・用途によって使い分ける

というのが、正しい洗剤の選び方になるわけです。

大雑把に言うと、頑固な汚れや白い服には粉末洗剤、色柄物は液体洗剤というイメージです。
また、液体洗剤は抗菌防臭効果成分を含んだ製品が多いので、梅雨時期の部屋干しにも向いています。

うちの祖母は畑仕事をするので、泥汚れが多いのでしょう。 だから、液体洗剤に変えたことで汚れ落ちが悪くなったと感じたのだと思います。
今度田舎に行く時は、粉末洗剤を手土産に持って行こうと思います。

3.液体洗剤台頭の理由

現在の粉末洗剤・液体洗剤の販売割合は、およそ3対7くらいだそうです。
ただし、両者のシェアが逆転したのは2011年と比較的最近のことであり、ここ数年で液体洗剤が急速にシェアを拡大しているのです。

なぜ、ここまで液体洗剤が台頭してきたのかというと、

・昔に比べて頑固な汚れがつくことが少なくなった
・デリケートな素材の衣類が増えた
・すすぎが1回で済む=時短・節水など
・扱いやすさ

などの原因が考えられます。

ライフスタイルや衣類の素材の変化などによって、「汚れを落とす」ことよりも「取り扱いが楽で素材に優しい」という機能が優先されるようになったのでしょう。

とはいえ、小さな子どもがいる家庭や白い衣類の洗濯には依然として粉末洗剤の方が向いているわけで、たとえ販売量は減少しても、粉末洗剤の需要がなくなることはないと思われます。

これだけ科学が発達しているのに、粉末は液体を超えられず、液体もまた粉末を超えられない… 両者のシェアは変化しているものの、どちらかが駆逐されることなく長きに渡って共存しているというのは、興味深いことですね。

さらに、最近は第3の洗剤というものが登場してきました。
これはもしかして従来の粉末洗剤・液体洗剤に変わるものではないのか?ということで、第3の洗剤についても調べてみました。

4.第3の洗剤とは?

最近は第3の洗剤と称する商品が出てきました。 「ジェルボール」と呼ばれる、液体洗剤を水溶性のシートで包んだ洗剤です。 テレビCMも頻繁に目にしますね。

このジェルボール、CMでは「従来の洗剤と比べて洗浄力が高い」と謳われています。
実際のところどうなのでしょうか? なぜそう言えるのでしょうか?

まず、ジェルボールを使用した人達の感想をTwitterなどで見てみると、

・袖がきれいになった
・シャツが白い

という意見があり、実際に洗浄力に満足している人が一定数いることが分かりました。
ただ、私も買って使ってみましたが、香り以外の違いはよく分からなかったというのが正直な感想です。

次に成分分析表を見てみると、液体洗剤とほぼ同じながら、蛍光増白剤が入っているという点で大きな違いがあります。 つまり、先ほど書いた「液体洗剤に蛍光増白剤を混ぜてみたら?」をジェルボールは実現しているんです。

Twitterにあった「袖がきれいになった」「シャツが白い」という感想は、この蛍光増白剤によるものと思われます。
なので、「従来の洗剤と比べて洗浄力が高い」というメーカーの宣伝文句も、あながち嘘ではないということです。

一方、ジェルボール洗剤に対する不満点として、

・ボールの大きさが決まっているので、少量使いができない
・部分汚れに直接洗剤を塗ることができない

という意見が見られました。

少量使いに関しては、小さいジェルボールが発売されれば、ある程度解消できるかもしれません。 しかし、部分汚れにはどうやっても対応できないでしょう。

5.ジェルボール洗剤の特徴

では、ジェルボール洗剤の特徴を見てみましょう。

<ジェルボール洗剤の特徴>

〇ポンと入れるだけなので、液体よりもさらに手間がかからない
〇手が汚れない
〇香料が入っているので、部屋干しでも嫌な臭いが出ない
×洗剤量を調節できない(もったいない)
×部分汚れに対応できない
×乳幼児の誤飲の危険

こうしたジェルボールの特徴からみて、「従来の粉末洗剤・液体洗剤に変わるものではないのか?」という問いには、現時点では「NO」という答えになります。

上に挙げたジェルボールの弱点は、従来の粉末洗剤か液体洗剤で補わなければなりません。
つまり、今後しばらくは粉末・液体・ジェルボールを使い分けるという使い方が主流になるのでしょう。 3種類を使い分けるとなると、収納スペースが嵩んでしまいますね。

最後に

今回は、粉末洗剤と液体洗剤のメリット・デメリット、最近流行りの第3の洗剤について見てきました。 それぞれの特長を知り、用途によって使い分けることが必要であるというのが結論です。

クリーニング店の中には、洗浄液のpH値を調整し、素材への影響を考慮しながら最大の洗浄効果を発揮させるお店もあるそうです。 素人がそこまでやるのは無理としても、これまで粉末洗剤一択だった私の意識もだいぶ変わりました。
ただ、試しに買ってみたジェルボール洗剤は、洗剤量を調整できないというデメリットが大きすぎるのでもう買わないと思うし、祖母にも教える必要はなさそうです。

それにしても、世の中どんどん便利になる中、洗剤の種類が増えるというのは、はたして便利なことなのでしょうか? あなたはどう思いますか?

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